2007年07月24日
モンパノキ【世界初の水中メガネを作った木】
モンパノキの花。非常に小さく可憐に咲く
葉は潮風に耐えるよう、柔らかく頑丈
モンパノキは、青い海と青空に映える。杉江ウニさん撮影
海岸ならどこにでも見られる、台風に負けない元気な樹木です。
原産地 台湾、東南アジア、沖縄
科 ムラサキ科
日本での自生分布 トカラ列島宝島以南
漢字表記 紋羽の木
沖縄本島方言名 ハマスーキ、ガンチョーギ、ソーギキー(石垣)、スビキー(石垣)
沖縄への導入
観察スポット 漫湖公園、とよみ大橋、波之上ビーチなど海岸
開花時期 2−6月
香り
似ていて間違う木
モンパノキの見方
若葉や花序には絹毛が密生し、銀灰色になっています。葉の柔らかな感触から、「紋羽の木」というそうです。最も耐潮性の強い植物のひとつです。2〜6月、白または帯緑白色の小花を密につけます。花冠は鐘型。実はほぼ球形で橙黄色からのち黒変。マスカット色のピンポンダマ大で、ピンポン玉のように硬質であり、膚質は蝋のようです。中は空洞になっており、指で弾くとピンポン玉をはじいたのと同じ音と手応えがあり、なかに黒く小さい種子が入っています。玉の底に直径1センチほどの丸い穴があいていて、ここから種子が落ちる仕掛けになっています。司馬遼太郎「街道をゆく」では、この穴にホタルを入れて明かりとりにしたようだということが書かれています。
[m:13]沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
なんといっても、糸満の海人が世界で初めて作った水中メガネに用いられた木です。1884年に初めて作られたものは生イモをくり抜いたもの、やがてユーナになった。ユーナは乾燥すると割れてヒビが入るため、柔らかく乾燥しにくいため反らないモンパノキになりました。材の真の部分を抜いて、ガラスを接着して作られました。材は水圧を調節して目が痛くならなかったといいます。素潜り漁の潜水用眼鏡枠に使われました。葉は魚毒になります。潮風害に強いのでアダン、クサトベラ、オオハマボウなどと共に海岸第一線の防風防潮林になくてはならないものです。
司馬遼太郎「街道をゆく 沖縄・先島への道」では、竹富島で土地の子供が「提灯の木」と呼び、実にホタルを入れて明かりとりにしたという記述があります。実に開いている穴からホタルを入れたということが書かれています。ホタルを3匹も入れると相当に明るいだろうということです。また、戦時中、履物がなくて困っていたころはこの木で下駄を作ったため「ゲタの木」ともいい、昔はこの木で面を作ったから「お面の木」という人もいる、とも書かれています。
☆食と薬
生葉をつきくだいてしぼった青汁は魚、カニ、貝などの中毒を消す特効があります。
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月23日
ヤエヤマコクタン【三線の木。庭木や街路樹にも】
ヤエヤマコクタンの小さな花
ヤエヤマコクタンの実。黄色から赤に変わる
八重山の名を冠する重要な木は、日本で最も比重の重い材です。リュウキュウコクタンともいい、八重山とは切っても切れない樹木で、三線の高級棹木でもあります。屋敷林のほか、街路樹としてよく見られます。
原産地
科 カキノキ科
日本での自生分布 沖縄本島以南
漢字表記 八重山黒檀
沖縄本島方言名 クルチ、クルキ、キダ(石垣)、ソーロンキダ(石垣)
沖縄への導入
観察スポット
崇元寺通り(県道29号線)、一銀通り〜若狭緑地、バイパスおもろまち駅周辺、那覇バスターミナル周辺、久米大通りなど
開花時期 夏前−夏ごろ
香り
似ていて間違う木
ヤエヤマコクタンの見方
日本で最も比重の重い木(1.15)です。ちなみに世界で最も重いのはリグナムバスター(1.35)。材質は堅くて重く、心材は黒色。幹は普通はまっすぐだが風当たりの強い土地や岩石地などでは幼令木時代の損傷等によりさまざまな形になります。材はち密で堅くて重く、辺材は白っぽい色で耐久性が弱く折れやすいが、心材は真っ黒(まれにウズラ目と呼ばれる茶色っぽい縞目が入る)できわめて堅いものです。若葉のころにヒゲブトトガリキジラミという害虫がついて葉の表面にぶつぶつが出来ることがあります。
今年出た枝の樹腋から出る短い枝に小さい花が咲きます。旧盆のころから熟し始めます。熟すうちに、黄色から紅色に変わっていき、食べることが可能です。
沖縄の暮らしとのつながり
心材は磨いて民家の生け垣、床柱、床縁、床飾り、応接室の置き物など高級装飾、防風林、防潮林、指物用材、路次楽用材などに用いられました。肌合いと木の質で、三線の棹としては最も良質です。特に八重山産が優れていると人気があります。庭園木、鉢植え、盆栽も人気です。燃やしても火力はあるが煙りが少ないといわれ、出産して地炉(ジール)で体を暖めた時代に重宝されました。
波照間では、落雷のおそれがある時に枝をまとうと身を守るとされ、また芽が出始める時に粟の蒔種期を知ったといいます。また、三味線の棹にとして10年前にブームになり、みんな持っていってしまったとか。お産のお湯をわかすときに女性の腹を暖めたそうです。悪いものを出すということでもあるそうです。袋に入れて使われたそう。
食材として
実は食べることができ、果実酒にする人もいます。
栄養価
沖縄の歌での登場
デンサー節(沖縄本島民謡)
2007年07月22日
ボタンボウフウ【長寿のもとになる長命草】
波照間島にて
その名も「長命草」。長寿沖縄を象徴してきた草花です。海岸近くに生えています。スーパーで野菜として売られることも。
原産地
科 セリ科
日本での自生分布 本州中部以南
漢字表記 牡丹防風、長命草
沖縄本島方言名 サクナ、チョーミ−グサ
沖縄への導入
観察スポット 海辺、道ばた、空き地など
開花時期
香り あり
似ていて間違う木
ボタンボウフウの見方
沖縄諸島に多く分布しているセリ科の植物で常緑多年草、海岸の砂浜や断崖、珊瑚石灰岩でできた岩場などに多く自生する多年生草本、濃い肉厚の緑の葉を繁茂させます。生長すれば高さ1メートルにもなります。葉は粉白色で3出複葉。複散形花序で白色の小花を多数つけます。果実は楕円形。道路わきや、家の庭に植えられて年中みられる香草です。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
☆食と薬
沖縄の八重山地域で特に 「長命草」で知られるとおり、葉は強壮薬としてアヒルや牛肉と共に煎じて食します。肺病に効果があるといわれます。内臓器官に良い効果があるといわれています。又、魚介類の中毒も防ぐといわれ、刺身のツマとして利用されてきました。風邪やせき止めには茎、根を煎じて飲むと効果的です。独特の香りがあるので、山羊汁や魚汁に入れると臭い消しになります。最近では粉末にして、そばや菓子に幅広い加工品としても製品化されています。
食材として
葉に白っぽい光沢があり、ツヤツヤしたものを選びます。保存する場合は、濡れた新聞紙などに包んでビニール袋にいれ冷蔵庫へ。また、2,3日なら水につけていても大丈夫です。葉や茎を細かく刻んで和え物や、下葉よりも柔らかい若芽を天ぷらに利用します。
栄養価
カロテンやビタミンCおよびカルシウムを豊富に含んでおり、山羊汁に入れたり、肉類と煮込んだり、白和えや天ぷら、刺身のツマなどに利用します。
沖縄の歌での登場
2007年07月21日
ホウセンカ【すっかりメジャーになった「てぃんさぐぬ花」】
ご存じ「てぃんさぐの花」。島の道端に生えてます。本土でもポピュラーですが、実物って案外見たことないのでは?
原産地 インド、マレー、中国、熱帯アジア
科 ホウセンカ科、ツリフネソウ科
日本での自生分布
漢字表記 鳳仙花
沖縄本島方言名 ティンサグ
沖縄への導入
観察スポット 道ばた、空き地、花壇
開花時期
香り
似ていて間違う木
ホウセンカの見方
熱帯アジア原産の1年草。昔は翼栽培され、学校教育などでも利用されてきました。学校教育では、茎の柔らかさを利用し、茎の断面の観察や、赤インクを吸い上げさせて導管の観察などに利用します。種子の自動散布として教材によく利用されたし、子供たちの遊び相手でした。花は夏から秋にかけて咲き、赤、白、紫など多種あります。果実は熟すと破裂して種子を飛び散らせます。よく成熟した果実を軽く押さえると、果実は急激に割れて種子をはじき飛ばします。ちょっと手で触れるとびっくりするくらい勢いよく破裂します。
ホウセンカの花をよく見てみると、鮮やかな赤色の花弁が3枚(このうち左右にあるものは途中で2つに別れ、4枚の花弁のように見える)、そしてその外側に3枚のやや色の薄い花弁状のものがあります。これは顎で、その顎の一部は花の後ろ側に管状に突き出しています。この管状のものを距(キョ)といいます。ホウセンカでは距は3本あるが、ツリフネソウでは顎の1つが大きく、距は1本しかありません。雄しべは5本であり、合生して雌しべを覆っています。果実が割れて自動散布する点もツリフネソウと同様です。茎が多汁質で柔らかい点もよく似ています。
沖縄の暮らしとのつながり
マニキュアとして利用。粟国島で6月23日の祭の前日に鳳仙花の葉を揉み潰したものに塩を加え爪にのせ桑の葉で包んで爪を染めた。ちなみに 朝鮮の伝説で、失意で亡くなった女性・鳳仙の冥福を祈る意で爪に塗るといいます。
☆食と薬
薬草としては脳膜炎、熱さまし、頭痛、歯痛、咳、喘息、ひきつけ、血マメ、打ち身、水虫、虫さされ、切り傷に利用。
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
てぃんさぐぬ花
てぃんさぐぬ花や 爪先に染みてぃ 親の言し事や 肝に染みり
(てぃんさぐの花は爪に染めるけれど、親の言葉は心に染めなさい)
2007年07月20日
オオバイヌビワ【ガジュマルとイチジクの仲間】
枝に直接付く無花果
海岸沿いでも集落でも、島の森に入れば大きな葉と枝を広げていてどこでも目につく樹木です。
原産地 小笠原、沖縄、台湾、ジャワ
科 クワ科
日本での自生分布 奄美群島以南
漢字表記 大葉犬枇杷
沖縄本島方言名 トートーギ、ウフバー
沖縄への導入
観察スポット 海辺、山地各地
開花時期 4−5月
香り
似ていて間違う木
イヌビワ。葉の大きさで区別。
アカメイヌビワ。葉のツヤで区別。
ヤエヤマアオキ(ノニ)。実の形で区別。
オオバイヌビワの見方
県内にあるガジュマルの仲間(クワ科)では、インドゴムノキをのぞけばもっとも大きい葉といわれます。葉はイヌビワより大きく、葉脈の走り方もダイナミックです。
幹は灰白色の常緑高木で、葉の付け根に小さなイチジクに似た扁平、球形の無花果をつけます。無花果はカボチャを小さくしたような形で直径約2センチ、表面が波打って凸凹が目立ち、粉を塗したような白いブツブツが沢山付いています。4−5月に花嚢が付き始め、秋には赤く色づきます。熟した果実はフクギや同属のギランイヌビワと同様に沖縄に住むオオコウモリなどが好んで食べ、種があちこちに運ばれます。西表島では「コウモリの木」と呼ぶ地域もあるとか。石垣での方言名「カブリィ」は、ヤエヤマオオコウモリを指す方言でもあります。
また、多くのイヌビワと同じように、イヌビワコバチと共生していて、コバチは雄花の花嚢の中で育ちます。
亜熱帯や熱帯地方には、クワ科イチジク属の木が多い。ガジュマル、アコウを代表として、イヌビワ、ホソバイヌビワ、ハマイヌビワ、ギランイヌビワ、そしてオオバイヌビワがあります。その他、インドゴムノキ、イタビカズラ、オオイタビなども同じ仲間。イチジクをもぐと出る白い樹液は、ゴムの樹液と同じということです。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
防風樹として植えられるほか、枝や葉は緑肥や飼料としても利用されるそうです。幹は板材として利用されたよう。
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月19日
ニチニチソウ【道ばたのかわいい島の移住者】
園芸種として日本全国どこでもある花ですが、沖縄では野生化したものも道端で非常によく見かけ、おなじみ花です。
原産地 マダガスカル
科 キョウチクトウ科
日本での自生分布
漢字表記 日日草
沖縄本島方言名
沖縄への導入
観察スポット 道端、花壇
開花時期 年中
香り
似ていて間違う木
ニチニチソウの見方
原産地マダガスカルでは低木状になり毎年花を咲かせる、暑さと乾燥に非常に強い園芸種です。日本では寒さに耐えられず秋には枯れてしまうため、1年草として扱われているようです。日本本土では夏花壇用の植物としてよく利用され、初夏から晩秋まで次々に咲くので「日々草」といいます。ひとつの花の寿命は2日ほどと短いですが、最盛期には次々と途切れる事なく花を咲かせます。葉は濃い緑色で楕円形。光沢があり美しい。
花は直径3−4センチ程度で花弁は5裂し、色は白、ピンク、赤、赤紫など。中心だけ色が違うものもあります。葉は長楕円形で対生する。
ニチニチソウには「ビンカアルカロイド」と総称される多種のアルカロイドが含まれる。そのうちのビンクリスチンとビンブラスチンには細胞分裂阻害作用(チューブリン脱重合による)があり、抗がん剤として用いられるそうです(脱毛などの副作用・毒性があるので素人の利用は危険)。
沖縄の暮らしとのつながり
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月18日
サガリバナ【実は那覇の街路樹にも】
夜咲く花(那覇市役所裏、開南小学校前)
昼間の状態(栄町)
崇元寺近く、マックスバリューに続く道の街路樹
梅雨が明け7月になると、あちこちでサガリバナの花が咲き始めます。テレビや雑誌が西表の川に花びらを落とす幻想的な風景ばかりを取り上げるので、ジャングルの奥深くにひそかに咲いている花と勘違いされる向きもありますが、那覇の街路樹として堂々と咲いています。
原産地 熱帯アジア,南太平洋諸島
科 サガリバナ科
日本での自生分布 奄美大島以南
漢字表記 下がり花
沖縄本島方言名
キーフジ、サワフジ、モーカバナ(名護)、ズルカキ(石垣)
沖縄への導入
観察スポット
崇元寺向かい長虹橋、開南小前、旭橋駅、栄町市場南側、西原町嘉手苅、那覇三越裏など
開花時期 6-7月
香り 花からほのかな芳香を出す。
似ていて間違う木
サガリバナの見方
自生するものは、川岸やマングローブからやや上流の河川湿地帯に生えます。夏の夜、西表島などの川面に流れる真っ白い花の情景が最近メディアで報道されりようになり、エコツアーと称して観光客が押し寄せ生態系のかく乱が問題になりつつあります。
夜咲きの花は白色または淡紅色で、藤状に長く垂れ下がった総花状です。雄しべは白色できわめて多く、糸状で長さ3-4センチもあります。ひとつの花は夜に満開になり朝には散りますが、穂状花序に残るつぼみが咲いてしばらく楽しめます。ほのかな芳香があります。
実は中果皮は繊維質となっているため海水に浮き、マングローブ域の多くの植物と同じく海流で散布されます。
沖縄の暮らしとのつながり
樹皮はタンニンを含み、漁網を作った地域もあったといいます。
西原町嘉手苅の内間御殿(うちまうどぅん=第二尚円王、のち金丸が隠遁した地)にあるサガリバナの木は推定450年以上の大木で、夏にライトアップもあり、ほのかな香りと共に幽玄です。(安村重保さんの情報)。
栄養価
情報なし
沖縄の歌での登場
2007年07月17日
ハンダマ【ポリフェノールたっぷり】
葉の色が紫色なので、すぐわかります。アジアでは昔から「女性の味方」だった、伝統食材です。
原産地 熱帯アジア
科 キク科
日本での自生分布 南九州以南
漢字表記 紅鳳菜(中国名ホンフォンツァイ)
標準名 スイゼンジナ、金時菜(石川県)
沖縄本島方言名 ハンダマ
日本・沖縄への導入
原産地の熱帯アジアから中国を経由して日本に伝わったとされます。寒さに弱いため、日本国内では沖縄から南九州の温かい地に自生していますが、石川県では金時草の名で栽培されています。
観察スポット 畑地
開花時期
香り
似ていて間違う木
ハンダマの見方
ハンダマは、葉表が緑色、葉裏が紫赤色していて、加熱するとヌメリが出るのが特徴です。茹でて和え物、雑炊、汁の具にするとほんのり紫に色づきます。無農薬でもよく育つといいます。台湾でも地味ながら、「造血作用がある」と信じられ古くから食べられている伝統野菜。葉の紫色は抗酸化作用で知られるポリフェノールで、鉄分の含有量も多い。
沖縄の暮らしとのつながり
☆食と薬
沖縄では昔から薬膳料理に日常食として、疲労時や風邪のひきはじめ、貧血、目の疲等に汁物、炒め物と使用されました。ビタミンB2、ビタミンA、鉄分を含み、茹でると独特の風味があり、ぬめりがあり、汁が赤くそまります。「血の葉・不老長寿の葉」と言われ、民間療法薬としておおいに活躍していました。疲労時に葉や茎を煎じたり煮て食べたりしていました。風邪のひきはじめにも良いそうです。
食材として
食べるのは葉だけで、茎から摘み取って蝶理します。葉の緑と紫が濃く鮮やかで、みずみずしいものを選びましょう。傷みやすいので早めに使い切るのがよいですが、保存する場合は湿らせた新聞紙などに包み、ビニールに入れて冷蔵庫に入れましょう。
台湾料理ではショウガ炒め、スープの具などが定番です。
栄養価
ビタミンB2、ビタミンA、鉄分を含むほか、葉の赤紫色にはポリフェノールが含まれており抗酸化作用を持っていると言われています。
沖縄の歌での登場
2007年07月16日
シャリンバイ【白い車輪の有用樹】
道路と歩道のパーティッションとしても、よく見かけます。春先に白くてかわいい花を咲かせます。
原産地
科 バラ科
日本での自生分布 九州南部以南
漢字表記 車輪梅
沖縄本島方言名 ティカチ、トゥカージー(石垣)、
沖縄への導入
観察スポット
331号線那覇軍港〜明治橋(垣花町)、天久公園など
開花時期 2−3月
香り よい香り
似ていて間違う木
シャリンバイの見方
暖地の海岸に生育、高さ2−6mになる常緑の低木あるいは小高木。西表ではかなりの高木になっているものもあるようです。葉は厚く、きょ歯があるものとないものがある。花は沖縄では2−3月に円錐花序に白い小さな花が無数に咲きます。枝先に車輪のようにつけるので車輪梅といいます。生け花用に利用される。本土では5月ごろ咲き、厚ぼったいもののバラ科の特徴をよく示しているといいます。果実は黒紫色の球形で直径1cmほどで、熟すると食べられます。中に合着くした種子が2つ入っています。元々海岸の植物であり、乾燥に強いことに着目されで、近年は街路樹や路側帯に植栽されることが多いようです。本土でも、岡山県では島の海岸など限られた場所でしか生育が見られなかったが、各地で植栽された結果、明るい2次林の尾根筋などにも時折芽生えているものが見られるようになってきたといいます。
シャリンバイは、奄美大島の特産品である大島紬の染色に使用されることでも有名です。シャリンバイの材や根を煎じ、染色に使用します。タンニンをたくさん含んでいるのかもしれない。
葉が倒卵形をしている本土のマルバシャリンバイ(東北南部以南に分布)に比べるといくぶん葉が細長いです。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
材は茶褐色で、堅く、重く、強い。風、潮害に強く、海岸や農耕地の防風林として他の木と混植されました。屋敷の生け垣、庭園木、盆栽にも利用されています。建築材には使われないが、普通鍬や斧などの柄、その他農機具に重用されています。西表では田を耕すキーパイ(木鍬)、米をつくイナチキ(杵)など作りました。薪炭材としても優良木でした。
皮はタンニンを多く含み、織物用の染料として大島紬、久米島紬、紅型などに利用されます。褐色の染料にも使われます。
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月15日
シロノセンダングサ【沖縄で一番よく見る花?】
波照間島にて。お花畑状態になったサチグサと製糖工場の煙、コバルト色の海とのコントラストがきれい
もしかしたら、沖縄で一番よく見る植物かも? 帰化種だけど、方言名もあるすっかり県民に馴染んだウチナー草です。
原産地 北アメリカ
科 キク科
日本での自生分布 温暖地
漢字表記
沖縄本島方言名 サシグサ(刺すから?)
沖縄への導入
日本には幕末に渡来したという。戦中もしくは戦後、アメリカ兵の服に付いてきたものが嘉手納周辺で繁殖したのが始まりという説があります。
観察スポット 空き地、道ばた
開花時期 年中
香り
似ていて間違う木
同じ北米原産のアメリカセンダングサ、熱帯アメリカ原産のコセンダングサには、白い舌状花はない。
シロノセンダングサの見方
畑地や空地、道端などに普通に生えている帰化植物で、暖地で広く分布し、1年じゅう白色の舌状花のある花を咲かせます。舌状花というのは、中央の黄色い管状花が密生する部分の周囲に付く花びら(花弁)のこと。センダングサは、葉が本土のセンダンの葉に似ているからついたもの。葉は1−2回羽状複葉で、鋸歯縁。果実は下向きのトゲのある芒があり、動物や衣服に付着して散布されます。別名アワユキセンダングサ、タチアワユキセンダングサ。観賞用に栽培されたこともあるとか。沖縄に自生しているものは、本土のものより舌状花が立派な感じがします。
沖縄の暮らしとのつながり
雑草と捉えられがちですが、天ぷらやおひたしで食べるなど、食用としても有用です。
食材として
天ぷら、おひたしなど
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月14日
クロツグ【ザルや網になった霊木】
山地やウタキ(拝所)などによく見られるヤシの仲間の霊木ですが、生活材として非常に有用な樹木でした。
原産地 琉球列島、台湾など
科 ヤシ科
日本での自生分布 屋久島以南
漢字表記
沖縄本島方言名 マーニ
沖縄への導入
観察スポット 山地、御嶽など
開花時期
香り
似ていて間違う木
クロツグの見方
山すそから低地にかけ自生します。幹は葉梢が腐ってできた黒色の荒い繊維で密におおわれます。葉は羽状複葉。雌雄同株で、6〜9月に同花序にメス・オス別々の花が咲きます。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
葉柄の基部にあるサヤを構成する網目状の黒くて丈夫な繊維をマーニフガラといい、古くから各種の縄に利用されました。水中や風雨にさらしても容易に腐らないので、特に船用ロープ、マット、ブラシ、茅葺き屋根の覆いなどに重用されています。小葉の中肋を集めてホウキを作り、また中肋の先にワナを作って小竹の先に結び、子供達が小川や渓流のエビをくくったりしました。八重山では、クロツグより全体的に線の細いコミノクロツグがあり、表皮に近い部分が弾力があるので薄くはがして各種カゴやザルを作たとのこと。波照間島では、漁縄を結って追い込み漁に使ったそう。
☆食と薬
茎頂の柔らかい新芽は食用になります。
食材として
栄養価
沖縄の歌での登場
内根間ぬかながま
2007年07月13日
ニシヨモギ【ジューシーでおなじみフーチバー】
手前がニシヨモギ。向こう側はテッポウユリ。波照間島で
フーチバーの方言名もすっかりおなじみになりました。本土のヨモギとは少し違います。
原産地
科 キク科
日本での自生分布 ヨモギとしては本州以南
漢字表記 西蓬
沖縄本島方言名 フーチバー、フチィ(石垣)
沖縄への導入
観察スポット 島内各所
開花時期
香り あり
似ていて間違う木
名前的に混同されやすいのが「リュウキュウヨモギ」。方言名を「ハママーチ」といい、同じキク科ですが、細い葉の形などまったく異なります。こちらは川岸、海岸に自生し、高さ50〜60cm。春先に出た葉はヨモギに似ていて葉のウラに白い毛があるものの、薬効はヨモギと異なります。秋には茎の先に苞に包まれたたくさんの花を密生して付け、 黄緑色に見えます。漢方薬の「茵陳蒿湯」や「茵陳五苓散」に配合されているのが有名、沖縄では古くから利用されてきました。用途は、黄疸、肝炎、胆石症や、むくみなどで、クチナシの果実と一緒に煎じて服用されることが多いようです。また、高い抗酸化作用があることが報告されています。久米島や慶良間、奥武島などの海岸に自生しています。日当たりの良い砂地を好み、葉が細かく地を這うことからハママーチという方言名がつきました。栽培する場合、繁殖力があるので挿し木でどんどん増やせるとのことです。
ニシヨモギの見方
ヨモギとしては、キク科の多年生草本。国内では本州以南から南西諸島まで分布します。根茎は地中を横走しますが、セイタカアワダチソウと同様にこの地下茎などから他の植物の発芽を抑制する物質を分泌します(この現象をアレロパシー=他感作用と言う)。そのうち、沖縄に自生するものをニシヨモギとして区別しているようです。見た感じ、ニシヨモギの方が葉が大きく柔らかく、香りもよい感じがします。苦味も柔らかいといいます。畑でも栽培され、八百屋やスーパーで売られています。
方言名のフーチは艾(モグサ)のこと。モグサはヨモギの葉の毛や腺毛から作られます。
沖縄の暮らしとのつながり
昔から葉を煎じてその汁を服用しています。胃腸病、解熱、子宮出血、婦人病などに効果があるとされてきました。乾燥葉を煎じて飲むと神経痛、リューマチの薬になります。天日干しした葉は入浴剤として利用しました。沖縄においては、薬草として幅広く家庭で利用されています。傷の止血には生の葉をもんだ汁をつけ、、皮膚病には生の葉に塩を加えてつき砕いたものを湯に注いだ汁で患部を洗うとよいとされています。沖縄ではもっとも親しまれている薬草となっています。
波照間島のおばあちゃんによると、熱が出た時に飲まされたとのこと。スリバチで摺って、少し砂糖(黒糖)を入れて飲んだようです。天ぷらが一番おいしい、衣につけてかき揚げみたいにして、他に葉や野菜は入れずに揚げるのが一番とか。
食材として
沖縄では古くから細かく刻んでシューシー(炊く込みご飯)に入れたり、肉汁や魚汁、山羊汁の臭み消しや薬味として食されてきました。フーチバーは、独特のさわやかな香りがあります。調理する場合は根に近い葉は硬いので避けた方がよいとのこと。汁ものに入れる場合は、調味する前に入れると苦味がきつくなりません。ジューシー(雑炊)以外でも、味噌汁の具や沖縄そば、テビチ汁の薬味などにも使われます。沖縄そば屋さんによっては、どんぶりにいっぱいのフーチバーを出して自由に入れさせるところもあります。このほか臭みのある魚汁、牛汁などにはよく用いられます。山羊汁には欠かせないです。本土では食用はヨモギ餅ぐらいで料理に用いられるというのを聞かないのは、ニシヨモギはアクも苦味もヨモギより少ないためといいます。
料理に使うときは、モスグリーンに近い、柔らかそうな葉を選びまず。特に葉に斑点が出ているのは避けるべきとのこと。保存は、湿らせた新聞紙などに包んで、立てた状態で冷蔵庫へ。
栄養価
ビタミンA、カルシウム、カリウム、鉄分を多く含みます。特にカリウムが豊富で、塩分を排出させる作用があります。また、ヨモギの独特の強い香りの成分として、シネオールやセスキテルペンなども含みます。
沖縄の歌での登場
2007年07月12日
ウンチェー【茎がしゃっきり、栄養価の高い亜熱帯野菜】
沖縄では「豚のエサ」も、今や東京の中華料理店では高級食材「空心菜」。
原産地 中国南部
科 ヒルガオ科
日本での自生分布
漢字表記 空心菜(中国)
標準名 エンサイ、クウシンサイ(空心菜)、アサガオナ
沖縄本島方言名 ウンチェー、パイナー(宮古)、ウンツァイ
日本・沖縄への導入
沖縄での栽培は古くから行われており、水田や低湿地帯での栽培が主体でしたが、最近では畑でも栽培が行われるようになりました。日本本土に伝来したのは、1972年の日中国交回復の時だったという説があります。
観察スポット 島の畑
開花時期
香り
似ていて間違う木
ウンチェーの見方
イモと同じヒルガオ科の植物なので、害虫(アリモドキゾウムシ)の問題で日本へ出荷することができません。台湾や香港、東南アジアの料理店では、よく見られます。台湾などのものに比べ、沖縄産は茎の部分の繊維質がしつこく、改良の余地があるといわれています。
沖縄ではよく水辺に生えていて、排水溝にもよく植わっていたことから「豚のエサ」などと貧乏の代名詞のように言われましたが、河川や湖沼の水質改善に効果があるといいます。窒素の削減率が85%、リン酸態リンが83%と高度の浄化能力があり、千葉県の印旗沼で水質浄化と販売用に栽培を行なっています。
沖縄の暮らしとのつながり
☆食と薬
沖縄の夏野菜として、炒めものは沖縄料理の定番です。昔から敷地内の湿地によく繁茂し、夏場の大事な緑色野菜として利用されていました。しかしながら現在の50代以上が子供のころは、沖縄の食卓によく上ったが、昭和40年代には消えたそうです。
食材として
ビタミンAや良質の繊維を多く含む葉野菜で、茎は空洞になっており、シャキシャキとした食感が特徴です。つるの先端は柔らかいので、葉とともに炒めものや和え物、味噌汁に入れます。炒め物や和え物、汁物に利用されています。傷みやすいのですぐに調理するのがよいですが、保存する場合は、湿らせた新聞紙などに包んで冷蔵庫に。その時に立てた状態(自然に生えている状態)で保存した方が長持ちします。
台湾でも中国でも、ニンニクを合わせて塩味をつけて強火でさっと炒めるのが定番。
栄養価
カルシウム、鉄分、ビタミンA、B1、B2、Cが豊富に含まれます。ホウレンソウの3・5倍の食物繊維があり、カルシウムやビタミンAも1・5倍です。尿酸値改善やコレステロール、中性脂肪の低下させる作用があるという。
2007年07月11日
オオタニワタリ【台湾では高級食材、八重山でも】
波照間島の民家のもの
石垣などあちこちで目にする、南国でおなじみのシダ。石垣の市場では食用として新芽が売られています。
原産地 琉球列島、台湾
科 チャセンシダ科
日本での自生分布
伊豆諸島、紀伊半島、四国(徳島南部)、九州(西・南部)以南
漢字表記 大谷渡り、山蘇(台湾)、鳥巣蕨(台湾)
沖縄本島方言名 サラムシル(石垣)
沖縄への導入
観察スポット 日陰の山地や民家の石垣など
開花時期
香り
似ていて間違う木
シマオオタニワタリ、リュウキュウトリノスシダ
オオタニワタリの見方
深山の山あいなど陰湿な林内の樹幹や岩上に着生する常緑性のシダ植物。葉柄基部の鱗片は広披針形で、葉身の中肋は太く、表面は平坦で裏面にわずかに隆起します。
屋久島以南に自生するシマオオタニワタリと似ますが、葉柄基部の鱗片は狭披針形で、葉身の中肋は表面にわずかに隆起し裏面で扁平となるところが区別点です。また、同じ科のリュウキュウトリノスシダも似ていますが、裏面の葉軸が盛り上がって稜状になります。
台湾では、山地の先住民族が常食する山菜でした。10年ほど前から栽培が始まり、いまではウンチェーの10倍近い値がつく高級野菜となっているようです。
沖縄の暮らしとのつながり
沖縄本島ではあまり食べませんが、八重山ではかつて祝宴にも供されいたようです。カツオの中味などとともに炒めて食べられるなどしてきました。
食材として
独特の口当たりがあり、食べた時の感じが面白い。多少青臭い感じがしますが、いやな青臭さではありません。ごはんのおかずとしていためてもおいしいものです。
*オオタニワタリとタコの酢の物
オオタニワタリはアダンと違ってあくはないので塩を入れて、さっとゆがきます。
タコは水を入れないで、塩と酢を少々と、泡盛をさっと掛けて蒸し煮にします。「どぅーじる」(タコ自身の水分)が出てくるので、中型のタコだと中火で七、八分くらい。焦げないホーローなべを使えばよいでしょう。ただ、タコの大きさに応じた大きめのなべを使います。そうしないとどぅーじるが出にくいですから。
タコを軟らかく仕上げるには、最初ざるに入れて塩をふり手でもみ洗いします。するとぬるぬるしたものが出てきます。それを水を掛けて洗う。手で触って表面がきゅっきゅっとする感じになったら、なべに移します。これをしないと、とても固くて食べられない。色もきれいに仕上がります。
酢、みりん、塩、かつおだしをちょっと火にかけて冷ましてから、オオタニワタリとタコにかけます。かける寸前にごまを入れるとごまの風味も楽しめます。
オオタニワタリの色を考え、アダンの芽と一緒に「らふてー」の付け合わせにも最高です。同じ野生のものでもアダンの芽は、素材の良さを残す形で煮含めるという手の加え方をしました。一方のオオタニワタリは塩でゆがいただけです。(沖縄タイムスHP「てぃーあんだ」から)
栄養価
豊富なビタミン、カルシウム、カリウム、鉄分を含み、食物繊維の含有量も少なくないです。解毒作用があり、利尿作用、高血圧や糖尿病に対する一定の予防効果があるとされています。
沖縄の歌での登場
2007年07月09日
シマグワ【昔は貴重だった織物の木】
那覇高校の近くで
古来、沖縄の人にとってとても大切な木でした。
原産地
科 クワ科
日本での自生分布 屋久島以南
漢字表記
沖縄本島方言名 クワ、コンギ(石垣)、
沖縄への導入
観察スポット 市街地から山地まであちこち
開花時期 2月ごろと7月ごろ
香り
似ていて間違う木
クダモノトケイ(パッションフルーツ)。葉の厚みやツヤが違う。
シマグワの見方
南西諸島各島、台湾、南中国に分布します。北に行くと落葉樹だが、沖縄では常緑樹。海岸近くから山裾にかけて見られる、雌雄異株の4−8メートルの落葉中高木です。実は熟すと食べられます。本土の同属種であると、ヤマグワと比べると、葉の切れ込みが少ないとされます。
雌株は、1年前の枝先やその先に新枝を出した枝の基の方の葉腋に数本出る花軸の先に穂状花序をつけます。穂状花序は球状または楕円形で、黄色の小さな花を多数咲かせます。雄花の穂状花序は雌花の花序より長く、穂状で枝に垂れ下がります。。果実は集合果で、緑-赤-濃紫色へと成熟ごとに色が変化していきます。
葉は互生、卵形で、表面は深緑色で光沢があります。長さ6−15センチ、幅は5−7センチで、若木は深く3〜5裂した形をすることがあります。成木になると卵形なります。一本の枝に色々の葉をつけることもあり、基部は切形から心形、先端は短くまたは細くとがり、縁は鋸歯があります。
生長が早く、大きくなった桑の木には沢山実がつきます。沖縄ではこぼれダネの桑があちこちで芽を出しています。実の付く期間も長く、発芽率も高いので1本桑の木があると必ず近くに小さな桑の木があります。
集合果は多液で甘みがあります。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
王府時代から戦前まで、生葉は養蚕のための蚕の飼料として大事にされてきました。樹皮から桑布も作られました。箸の材料にもなる。柱材、木釘、ジール(地炉)の薪、馬の鞍材、ヘラの柄、舟釘、紙材、家畜飼料、緑肥、などにも使われたとのこと。
波照間島のおばあちゃんの話では、昔は蚕のエサとして非常に貴重で、とても大切にしたそうです。牛や山羊のエサにも使いました。また紙漉きの材料として、北部落の東はずれの浜から石垣島に送ったそうです。そのとき、たたいて白く柔らかくしたそう。実が最高のおやつで、木の下にカサを広げ、棒でたたいて落として取ったそう。今は土地改良されてしまい、すっかりなくなったとおっしゃってました。
☆食と薬
甘い実は、ジャムやゼリーの材料として利用されます。また果実の干したものは強壮効果があると言われています。抗酸化物質のアントシアニンを多量に含有しているようです。葉は漢方薬で整腸薬として用います。
食材として
実は食べられますが,そのほかに若葉は天ぷらや汁物の具として用いられるそうです。
栄養価
沖縄の歌での登場
2007年07月08日
マツリカ【サンピン茶、そして「月ぬ美しゃ」】
波照間島の民家に植わっているもの
沖縄本島の都市緑化植物園のもの
寄宮公園にて
沖縄でおなじみ「さんぴん茶」、すなわちジャスミンです。昔、茶のかわりとして香りのよい花に湯をかけて飲んだり、茶に花をうかべてのんだりしたそうです。
原産地 インド、南アジア
科 モクセイ科
日本での自生分布
漢字表記 茉莉花
沖縄本島方言名 ムイクワ、ムリクパナ(石垣)
沖縄への導入 中国から
観察スポット 寄宮公園
開花時期 7−8月
香り 独特のさわやかな芳香
似ていて間違う木
マツリカの見方
香りの強い白花が茎の先端に3個咲きます。八重、半八重などがあり、中国ではこの半八重品種の花をジャスミン茶を製造するのに用います。茎は細く、半蔓性です。花に芳香があり,香水の原料やジャスミン・ティーとして利用されます。
ジャスミンと名の付く植物は多くの科にあり、本来のジャスミンとは系統の遠いものも多い。カロライナジャスミン(イエロージャスミン)はマチン科、マダガスカルジャスミン(アフリカシタキヅル)はガガイモ科、アメリカジャスミン(ニオイバンマツリ)はナス科。
琉球にはインドから中国を経て伝わり、さらに1609年に琉球を武力制圧した薩摩藩が、江戸幕府へのみやげにムイクワとアカバナーを持参したという記録があります。
インドではつぼみに糸を綴って売り、スリランカでも花環などの材料として喜ばれています。フィリピン、インドネシアでは、国花として親しまれています。
沖縄の暮らしとのつながり
ジャスミン茶は沖縄ではさんぴん茶として親しまれています。大正時代は朝から晩まで老若男女がさんぴん茶を飲んでいたようで、茶葉に湯を注ぎ熱いものを飲むのが当たりまえだったといいます。さんぴんというのは、中国名「香片」からきていて、ほんのり香りのあるお茶ということです。沖縄と中国南部でジャスミンの花が満開になる7月と8月に生産されます。
茶葉がなかった時に、お茶のかわりに花を摘んでお湯をさして飲んでいたとのこと。茶に花を浮かべてお湯をさしたりするのが本式。昔はどこでも生えていた。白から赤く枯れた方がもっとおいしいということでした。近年になってからは、植えている家からもらってきて、お茶にしたとか。おばあちゃんがよくやっていたそう。
このように、沖縄では高齢者のもっともポピュラーな飲み物でしたが、10年ほど前まで若い世代へのウケは今一つでした。復帰ごろ、「おばー、おじーが飲むもの」と若い人が敬遠し、飲まなくなったようです。10年前に「沖縄ポッカ」が「さんぴん茶」としてペットボトル化し成功、当初は売り上げが3億だったのが30億になっているとのことです。原料は福健省ですが、付加価値をつけて成功しました。工場のある東村の村民所得が12%アップしたとか。
背景には、沖縄の「暑さ」にうまくマッチしたことがあげられます。暑いが弁当をよく食べる習慣、暑いので油モノが多いことに復権の鍵があったようです。
沖縄の百寿者には、さんぴん茶の摂取量が多いという研究結果があります。さんぴん茶は緑茶のよいところを全部備えているだけでなく、それ以上によいところもあります。緑茶、ウーロン茶、紅茶などと同じ茶葉でできていて、ジャスミンの花を混ぜてあるのですばらしい独特の芳香があります。(鈴木信ほか「オキナワ式食生活革命」飛鳥新社)
食材として
栄養価
さんぴん茶は最小限にしか醗酵させていないので、フラボノイド含有量は緑茶のそれとほぼ同じだが、緑茶よりもリグナンが豊富なので、それに見合う抗酸化作用がある。コレステロール値を下げる働きがある。(鈴木信ほか「オキナワ式食生活革命」飛鳥新社)
沖縄の歌での登場
月ぬ美しゃ、家庭和合
2007年07月07日
ガジュマル【絞め殺しの木、聖なる木】
城岳小学校前のおおきなガジュマル
新都心の安岡公園のガジュマル
ガジュマルの実
編み目のように広がった根。曼湖公園にて
波照間島の旧盆祭「ムシャーマ」では、ガジュマルの下でボー(棒術)の演技が行われる
沖縄をもっとも代表するといっても過言ではない樹木です。沖縄戦ですべてが焼き尽くされ灰燼に帰した本島中南部を、数十年で緑濃い島に蘇らせたのは、ガジュマルをはじめとした木々でした。
原産地
科 クワ科
日本での自生分布 屋久島・種子島以南
漢字表記 榕樹
沖縄本島方言名 ガジマル、ガザムネー(石垣)
沖縄への導入
観察スポット
見ごたえのあるもの=城岳小学校、新都心安岡公園、松尾公園、県庁前、那覇市役所、若狭夫婦瀬公園、糸満市米須の民家、東風平世名城など
開花時期
香り
似ていて間違う木
ガジュマルの見方
海岸から低地に生える雌雄異株の常緑中高木で特に石灰岩地帯によく生えます。枝や幹から多数の気根を垂らし、やがてその一部が地面に付いて太い支柱木となります。絞め殺し植物として有名で、はじめ他樹に着生して気根を垂らし、気根が地面に到達すると急速に生長して着生した木を枯らして独立します。これは、地上発芽では競争が激しいため、空中から発芽するというガジュマルの生存戦略です。民家の屋根やコンクリートなどにも発芽し、その場合は早く取り除かないと建物が破壊されてしまいます。葉は互生倒卵状長楕円形で全縁厚革質。花は無花果で、コバチの仲間が実の中に入り受粉します。結実は3〜6月。実をたくさんつけるため、鳥たちにとっては貴重な食料源。
弾力性があり枝折れせず、さし木で生えやすい木です。沖縄県では、西原町の町木。那覇市安岡公園や城岳小学校前には、樹冠が横列に30メートルほど広がり、無数のヒゲが伸びる見ごたえのあるものがあります。また、糸満市のひめゆりの塔に近い大度の民家には、横に広がったものをモノレールのように剪定されたものがあります。
日本が開国する前に琉球王府に来たスポルディングの航海記「日本遠征記」には、「巨大なベンガルボダイジュが垂れ下がっている大きな段地を通った云々」というくだりがあるが、これは誤り。当時沖縄にベンガルボダイジュはなく、ガジュマルを見て「パンヤン」と勘違いし、翻訳者はベンガルボダイジュと訳したようです。なお、彼は首里の鬱蒼たる「緑と立地の高さ、魅力的な草木の葉に関して首里ほど美しいところはない(中略)イギリスではこれ以上の立派な領地はない」と書き記しています。
インドボダイジュのほかにも仲間は多く、ベンガルボダイジュ、インドゴムノキ、カシワバゴムノキ、オウゴンガジュマル、シロガジュマル、アコウ、イヌビワ類などあります。観葉植物で有名なベンジャミンも近い仲間です。
沖縄の暮らしとのつながり
☆生活材
ひねり曲りしないので、琉球漆器によく用いられてきました。家具、臼、垣根、防風林にも。材をゲタにするところや、葉を帽子を作ったところもあるようです。学校では児童の木登りやブランコをつけるのに最適。薪木用としては煙が出ないので良材とか。ゴムノキの仲間なので、樹液でトリモチ、チューインガムも作ったようです。赤系の植物染料にもなりました。
☆食と薬
戦後まもなくの配給所時代に、粉ミルクと粉砂糖をまぜたものに葉を代用スプーンにして使ったといいます。1950年頃、チューインガムは米軍用のみで店でなかったため、当時の子供はガジマルの幹に傷をつけ樹液を土や気根に繰り返しつけたあと水で洗い落として即席のガムにしたそうです。木灰は、良質の沖縄そば作りに使われます。薬用としては、腫れものに樹液を付けることも。
☆祭
沖縄では地鎮祭の木です。永良部島では獅子に。国頭の奥間では親獅子はガジマル、子獅子はデイゴを使ったといいます。綱引きにも使用。
☆言い伝え
精霊が宿る物として香炉を置いて神木霊木にしたり、妖精キジムナーの棲み家として子どもたちから親しまれ、あるいは恐れられてきました。戦前は、子供が生まれると1週間前後地炉に当たる習慣がり、薪として重宝されました。宮古島の狩俣では、子供の命名のときに仏壇に花米、竹、ガジマルの枝を供えたそうです。宮古島の保良では、正月に若水をガジマルの小枝を使って家の周囲にかけ清めたそう。多良間島ではトシビー祝いで洗米を入れた茶碗に歳の数だけ葉を挿したそうです。 波照間では、気根の先が白く伸びると雨になるといいいます。また、白い先端の方向から風がくるといいます。
沖縄の歌での登場
唐船どーい、あやぐ節
2007年07月06日
シカクマメ【さわやかな青い花とシャッキリ歯ごたえマメ】
波照間島の民家の石垣に咲いているもの。マメもなっています。
昨日、那覇に遊びにきた友人が「シカクマメ」を食べたいといっていたので、春先にさわやかに咲いているシカクマメを思い出してアップします。
「うりずん」の品種名どおり、旬は4月ごろです。ヒハツモドキ(ジャワナガコショウ)同様、民家の石垣に植わっているものは勝手にとってはいけません。
原産地 熱帯アジア、マダガスカル
科 マメ科
日本での自生分布
漢字表記 四角豆
沖縄本島方言名 沖縄での品種名「うりずん」
沖縄への導入
沖縄の夏の野菜不足を補うために1980年代に旧農林水産省熱帯農業研究センター(現、国際農林水産業研究センター) によって研究され奨励されました。
西欧社会に知られるようになったのは17世紀ですが、ビルマ、パプアニューギニアなどでは古くから栽培され、現地で食べられていたといいます。日本にも1900年頃に一度紹介され"トウサイ"という名前が付きましたが、ほとんど普及しませんでした。
観察スポット
開花時期
3月ごろ、スイートピーに似た青いさわやかな花を咲かせます。
似ていて間違う木 スイートピーにやや似ています。
シカクマメの見方
名前の由来は、実の断面がひだのついた四角形だから。ビルマ、インド、インドネシア、パプアニューギニアや、日本の沖縄県、小笠原諸島などで栽培されています。生産は沖縄が中心で、九州、四国、小笠原諸島などでも徐々に栽培されるようになってきました。
在来品種は短日性が強く、沖縄県以外では開花結実する時期に気温が足りないため露地栽培は難しかったようですが、新品種「ウリズン」は夏でも開花結実するように改良されました。害虫が付きにくく無農薬で育てられます。植えたら放っておいても十分育ちます。
食材として
長さ15cmくらいの若い莢を炒め物や揚げ物などにします。さっぱり味でくせがなく歯ごたえを楽しめます。若さやは軽くゆでて、サラダ類、揚げ物、炒め物、煮ものに使います。サヤエンドウのように、若莢をそのまま食べることもできます。くせがなく、生のままサラダにもできます。天ぷらも美味しい。
葉や花、完熟した豆、地下茎も食用になります。パプア・ニューギニアでは、この地下茎(細いサツマイモ状のイモ。美味でタンパク質が豊富という)がとくに好まれているらしく、イモを大きくするために花をつんで豆を実らせないようにしているとか。とは言うものの、シカクマメのイモはそれほど大きくはなく、また硬く味も褒められたものではないという。
栄養価
ビタミンA、B1、Cなどのほか、カリウムも含みます。熟した豆にはタンパク質、脂肪も多く、アミノ酸のリジンに富み、栄養価の高さは大豆に匹敵します。
沖縄の暮らしとのつながり
新品種の若々しさから、沖縄で新緑が萌える頃をさす「うりずん」と名付けられたといいます。夏野菜の少ない沖縄で、普及が期待されています。
波照間島のばあちゃんの話では、最近若い世代が植えるようになってきたとのこと。ピパーズ(ジャワナガコショウ)と同じように石垣に這わせることが多いようです。
沖縄の歌での登場
2007年07月05日
イーチョーバー【胃腸に効く伝統的島野菜】
クロヨナの根元のミニ菜園でかわいく植えられているイーチョーバー
イーチョーバーの花(参考)
夏バテに効く、島の伝統野菜もアップしていきます。
今回は、イーチョーバーです。
原産地 地中海沿岸
科 セリ科
日本での自生分布
漢字表記 茴香
標準名 ウイキョウ、フェンネル
沖縄本島方言名 イーチョーバー、ウイチョー
沖縄への導入
北京にて食医学の修業をした琉球王府の御殿医、渡嘉敷親雲上通寛が1832年に沖縄の食物の調理法や効用などについて著わした「御膳本草」に、「まんねんういきゃう、茴香(クハイキャウ)」の名が見えます。中国からの冊報使の饗応にかなり古くから使われていたと考えられます。
日本本土には平安時代に渡来したとのこと。
観察スポット
畑の端などでよく見かけるほか、自生して2メートルほどの巨大なものになっているものもある。
開花時期 5−6月ごろ
似ていて間違う木
雑草と間違われます。(苦笑)
イーチョーバーの見方
日本では沖縄の他に、北海道、長野、鳥取などで栽培されています。春にいっせいに葉を出し、初夏に黄色の小さな花を咲かせます。果実は卵状の楕円形で強い香りがあります。
沖縄の暮らしとのつながり
☆食と薬
沖縄では香味野菜として魚の臭み消しとして魚汁などに利用しています。ポーポーなどのお菓子にも使われるよう。代表的な料理として魚のマース煮(塩煮)・天ぷら・イーチョーバージューシーなどに使われます
アネトールという成分が含まれており、腸を刺激し消化を促進させ、食欲を促す健胃効果があると言われています。他にピネン、アニスアルデヒドといった成分も含まれます。
薬効としては、胃炎・胃弱・食欲不振・お腹のガスがたまって不快な時などに果実を煎じて服用します。のどにも優しいとされ、咳止めや気管支炎、痰切りにも果実を用います。
上記「御膳本草」には、「悪心腹中安らかざるを治し小腸の疝気を治し腎気上りて脇に衝て痛み刀にて刺かことくなるを療する也」とあります。
※ところで、中国料理の香辛料の八角は通称をウイキョウといい、香りもイーチョーバーと似ていますが、八角の方は「ダイウイキョウ」「トウシキミ」といい、セリ科ではなくアカネ科のようです。こちらは中国南部からベトナム北部が原産地。果実(八角)の芳香はイーチョーバーと同じくアネトールを主成分とする製油を含むためで、健胃・消カ・駆風作用が知られています。
2007年07月04日
ヒハツモドキ(ジャワナガコショウ)【八重山のコショウ】
赤いのが熟した実
波照間島の民家の壁に這っている
瓶入りのヒハツモドキ
八重山の民家の石垣でよく見かける「ピパチ」。八重山そばにかけると独特の風味で食欲をそそりますね。
お家の方が植えられているので、勝手に取らないようにしましょう。
原産地 東南アジア、マレーシア
科 コショウ科
日本での自生分布 琉球列島以南
漢字表記 畢撥擬
沖縄本島方言名 ヒハツ、ヒハチ、フィファチ、ピーヤシ、ピパーズ
沖縄への導入
観察スポット 民家の石垣
開花時期 夏
香り コショウに似た独特の香り。マツタケに似ている感じもする。
似ていて間違う木
インドナガコショウ。こちらがヒハツ(畢撥)で、中国にあるようです。雌花序が細長いので区別できるとのこと。
ヒハツモドキ=ジャワナガコショウの見方
通常の和名がヒハツモドキ、英名を訳した和名がジャワナガコショウです。つる性の常緑低木で、木の幹や岩の上を這い昇り、長さ2〜4mになります。沖縄では各地で栽培されています。果穂はつくしに似た円筒状で、下方から上方に向かって細くなり、長さ3cm、幅6〜7mmです。果実は球形で赤く熟し、径1.5mmぐらいです。学名(属名)の"Piper"は、「コショウ」のラテン語名です。
民家の石垣に這わせて、実がなっては摘まれて自家製コショウに使われています。朝方、島のおばあちゃんが摘む姿は、ちょっとした風物詩かも。
実は、コショウ(学名Piper nigrum)、ヒハツ(学名Piper longum L.)、ヒハツモドキ(学名Piper retrofractum)はそれぞれ別種で、少々ややこしい関係になっています。中国で取れるヒハツ(畢撥)=インドナガコショウはピパーと呼ばれ、それが英語のペッパーになりました。かつてアジアからギリシャ、ローマに輸出されていたコショウは、このインドナガコショウと丸い粒がぶどうの房のようになっているコショウの両方でした。コショウは遠くヨーロッパまで運ばれていたが、15世紀になりヨーロッパ人がコショウを求めてインドにやってきた時から、丸い粒のコショウの方が主流となり、そっちの方がペッパーと呼ばれるようになったのです。
なので、英語のペッパーはコショウですが、学名上ではインドナガコショウを指し、「ピパーズ」や「フィファチ」に音韻転訛した沖縄方言ではジャワナガコショウまで指すようになっています。
ちなみにコロンブスは「地球は丸いのだから、まっすぐ西に進めばインドに到達できるはずだ」とコショウを求め船出したが、着いたのはインドではなく新大陸で、コショウは得られなかったがトウガラシを持って帰ったといいます。
また、山地の自生種や園芸種で見られる「シマヤマヒハツ」はトウダイグサ科の別種で、香辛料にはならず果実酒などに使われています。
沖縄の暮らしとのつながり
石垣島などの土産で「ピパーチ」「ピーヤシ」などの名前で売られる、八重山産胡椒の瓶詰めでおなじみ。実を粉末にして、山羊料理や八重山そばにふりかけます。
沖縄本島や八重山では古くから栽培され、コショウの代用として用いられてきました。琉球料理には欠かせない香辛料で、特に山羊料理や豚料理と相性のよい調味料として重要です。薬用としても使われ、健胃整腸や食欲増進に用いられます。
通常はまだ青い未熟のまま収穫し、実を蒸して干し、粉にして香辛料として使用します。
中国では、ヒハツモドキの茎葉を生薬「山蒟(サンク)」と呼び、風邪や、リウマチによる痛み、腰や膝の機能不全、筋肉萎縮、咳による呼吸困難、打撲傷や毒蛇による咬傷を治すのに用いられているようです。
食材として
若葉も食すことができるといいます。ルッコラに似た形の若葉は、そのままか、細く刻んで天ぷらの衣をつけて揚げるとおいしいそう。柔らかな食感と独特の香りが広がります。
料理研究家によると、ピパーツは発汗作用があるため新陳代謝を促す働きもあり、暑い沖縄では夏バテ防止に最適な香辛料といえるとか。
栄養価
沖縄の歌での登場
高那節(八重山古典民謡歌詞集の解釈による)
【参考】ヒハツ(畢撥)=インドナガコショウ (コショウ科)
インド原産の常緑つる性植物です。ヨーロッパでは古く知られていて、「コショウには二つのタイプがあり、一つはblack pepper(現在私達が香辛料として利用しているコショウPiper nigrum)であり、もう一つはlong pepper(インドナガコショウ)である」とローマ時代の資料中に紹介されています。
果実にはコショウと同じ辛味成分ピペリン(piperine)を含み、インドではカレーなどの香辛料として利用されています。また、中国では鎮痛薬や止瀉薬として用います。