2007年07月24日
モンパノキ【世界初の水中メガネを作った木】


モンパノキの花。非常に小さく可憐に咲く
葉は潮風に耐えるよう、柔らかく頑丈

モンパノキは、青い海と青空に映える。杉江ウニさん撮影
海岸ならどこにでも見られる、台風に負けない元気な樹木です。











若葉や花序には絹毛が密生し、銀灰色になっています。葉の柔らかな感触から、「紋羽の木」というそうです。最も耐潮性の強い植物のひとつです。2〜6月、白または帯緑白色の小花を密につけます。花冠は鐘型。実はほぼ球形で橙黄色からのち黒変。マスカット色のピンポンダマ大で、ピンポン玉のように硬質であり、膚質は蝋のようです。中は空洞になっており、指で弾くとピンポン玉をはじいたのと同じ音と手応えがあり、なかに黒く小さい種子が入っています。玉の底に直径1センチほどの丸い穴があいていて、ここから種子が落ちる仕掛けになっています。司馬遼太郎「街道をゆく」では、この穴にホタルを入れて明かりとりにしたようだということが書かれています。

☆生活材
なんといっても、糸満の海人が世界で初めて作った水中メガネに用いられた木です。1884年に初めて作られたものは生イモをくり抜いたもの、やがてユーナになった。ユーナは乾燥すると割れてヒビが入るため、柔らかく乾燥しにくいため反らないモンパノキになりました。材の真の部分を抜いて、ガラスを接着して作られました。材は水圧を調節して目が痛くならなかったといいます。素潜り漁の潜水用眼鏡枠に使われました。葉は魚毒になります。潮風害に強いのでアダン、クサトベラ、オオハマボウなどと共に海岸第一線の防風防潮林になくてはならないものです。
司馬遼太郎「街道をゆく 沖縄・先島への道」では、竹富島で土地の子供が「提灯の木」と呼び、実にホタルを入れて明かりとりにしたという記述があります。実に開いている穴からホタルを入れたということが書かれています。ホタルを3匹も入れると相当に明るいだろうということです。また、戦時中、履物がなくて困っていたころはこの木で下駄を作ったため「ゲタの木」ともいい、昔はこの木で面を作ったから「お面の木」という人もいる、とも書かれています。
☆食と薬
生葉をつきくだいてしぼった青汁は魚、カニ、貝などの中毒を消す特効があります。



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